SNSで個人が自由に意見を述べられるようになり、カスタマーサポートの方法も変化しています。 アクティブサポートはSNSでユーザーの不満や悩みを発見し、メッセージを送りサポートする能動的なサポート手法です。
本記事ではアクティブサポートの定義から、手法や事例、注意点まで分かりやすく解説します。
アクティブサポートを導入し、顧客満足の向上につなげたい方は、ぜひご一読ください。
アクティブサポートとは
アクティブサポートとは、SNS上で商品やサービスに対する不満や悩みを持っているユーザーを見つけ出し、積極的にサポートする手法です。
アクティブサポートに対して、従来のユーザーがカスタマーサービスに問い合わせるのを待つサポートはパッシブサポートと呼ばれます。
アクティブサポートの主な目的は、顧客満足度の向上です。
わざわざ企業に電話したり、お問い合わせフォームに書き込んだりせずに、気軽に悩みをツイートして解消できれば、ユーザーの手間が省けます。
さらに、アクティブサポートを行うことで、積極的に問い合わせをしない「サイレントカスタマー」を減らせる点もメリットです。
アクティブサポートの手法
アクティブサポートは、一般的に以下のような手順で行われます。
- 体制を整える
- キーワードを選定する
- 公式アカウントを取得する
- 投稿にリアクションする
ここでは匿名性が高いため、不満や悩みをつぶやきやすいTwitterでのアクティブサポートを想定しています。
1.体制を整える
まずアクティブサポートを行う際の担当部署や、担当者が守るべきマニュアルを作っておきましょう。
決めておくべき事項は、以下のようなことです。
- サポートの範囲
- 対応時間
- 言葉遣い・トンマナ
- 問題への対応方法
- 他部署との連携方法
アクティブサポートの範囲を、不満や悩みなどのネガティブなもののみにするのか、ポジティブな意見にも反応するのか基準を定めます。
また、アクティブサポートは即時対応ができると顧客満足につながります。
営業時間以外はどのように対応するかなど、対応時間についても決めましょう。
中には、SNSで急に企業アカウントから話しかけられると面食らうユーザーもいます。
そのため、言葉遣いや文面のテンションには最大限気を配り、誰でも同じクオリティの対応ができるようにマニュアルを作ります。
ほかにはアクティブサポート担当者では解決できない問題が発生したときのフローや、技術部門やマーケティング部門など他部署と連携しやすい仕組みを作っておきましょう。
2.キーワードを選定する
SNSでどのようなキーワードを検索するか決めます。
主に企業名や商品・サービス名ですが、ソーシャルリスニングを行っていればより効果的なキーワードを選定できます。
ソーシャルリスニングとは、SNS上で発信された自社の商品やサービスに対する意見を収集・分析する手法です。
3.アカウントを取得する
キーワードを選定したら、アクティブサポートを行うソーシャルメディアでアカウントを作ります。
ユーザー名やプロフィール文に、自社の公式アカウントであることを必ず明記してください。
Twitterでは、Twitter Blueのサブスクリプションに加入し、審査を受け青いマークをもらうと公式アカウントであることの証明になります。
4.投稿にリアクションする
アクティブサポートを行うアカウントができたら、ユーザーの不満や悩みが書かれた投稿にリアクションしてサポートします。
Twitterでは、ツイートに対する返信である「リプライ」で話しかけましょう。
アクティブサポートの事例
アクティブサポートを積極的に行っている企業の事例を、3社紹介します。
Amazon Help
Amazonのアクティブサポートは、迅速さが特徴です。
「注文した商品が届かない」「届いた商品の梱包が破れていた」などのツイートに、数分でリプライを返しています。
担当者名を明記しているため、botではなく人が対応していることが伝わります。
Amazon Helpのアカウントはこちらです。(1*)
セブン銀行
セブン銀行のアクティブサポートは、「!」や絵文字を使ってフレンドリーさを演出しています。
「〇〇駅にセブン銀行のATMがない」といった困りごとへの対応だけでなく、各種電子マネーのチャージ方法などを短い動画とともに分かりやすく解説しています。
ポジティブな意見にも、お礼メッセージで反応しているのが特徴です。
セブン銀行のアカウントはこちらです。(2*)
マイクロソフトサポート
マイクロソフトは、カスタマーサービスとサポート専門の公式アカウントでアクティブサポートを行っています。
「〇〇が使いにくい」というツイートには、公式アカウントでサポートを受け付けている旨を伝えるのみに留め、返信が返ってきたら詳しく解決法をアドバイスしています。
マイクロソフトサポートのアカウントはこちらです。(3*)
アクティブサポートを行う上での注意点
適切に行えば顧客満足度の向上につながるアクティブサポートですが、間違った方法で行うと反対にユーザーの気分を害してしまう恐れがあります。
以下のような点に気をつけましょう。
- 言葉遣いやマナーに気をつける
- テンプレート対応は避ける
- なるべく少ない回数で終わらせる
不満や悩みをツイートするユーザーになれなれしい言葉遣いで対応すると、企業にマイナスイメージを抱かせてしまいます。
やりとりは常に全体に公開されていると自覚して、企業の顔として対応するようにしましょう。
またテンプレートをコピペしただけの対応は、ツイートと内容が噛みあわないため、ユーザーに伝わってしまいます。
手抜き対応と思われないためにも、1件1件に寄り添って個別化したメッセージを送ることがポイントです。
ユーザーから求められない限り、サポートは1回で終わらせられるように簡潔な文章でまとめましょう。
おわりに
アクティブサポートとは、SNSで商品・サービスの不満や悩みを拾い上げ、リアクションを返す積極的なサポート手法です。
アクティブサポートでは、ユーザーがカスタマーサポート窓口を探す手間がかからないため、顧客満足度の向上につながります。
アクティブサポートを行う前には、サポートの範囲や対応の方法などをあらかじめ定めておきましょう。
SNSでの会話は公開されていることを念頭に置き、会社の顔として誠実な対応を心がけましょう。
(1*)https://twitter.com/AmazonHelp