Sanka Academy

DX完全ガイド
定義、事例、理由、戦略

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投稿者: Sanka 創業者 兼 CEO 金海寛(キム ヘガン)

最終更新日: 2023年11月23日

目次:

はじめに

「DXという言葉を会社で聞かない日はない」という方も多いのではないでしょうか。

それだけ今日のビジネスシーンにおいてDXは重要視されており、実際に世界中の企業において「デジタルトランスフォーメーション(DX)」は単なるバズワードではなく、企業の生き残りをかけた至上命題となっています。

一方で、DXという言葉の意味は「ITツールの導入」「ペーパーレス」「効率化」という文脈で話されることもあれば、「デジタル時代に合わせたビジネスモデルの再構築」を指すこともあり、企業の中でも担当者間で意味合いやニュアンスがズレていることは多々あリます。

insight

役員や担当者が常に「DX推進」といいながら、企業としてその具体的なビジョン、つまり達成した姿が明確に共有できていない状況は、弊社が多くのDX推進施策に関わっていく中で、残念ながら多く見てきました。大多数のDXプロジェクトが失敗することも頷けるでしょう。

このような状況を弊社では「the elephant in the room」(部屋の中の象)と呼んでいて、担当者様には「DX推進」という言葉に踊らされたり、ビジョンのズレに目を背けるのではなく、まず一番最初に「デジタルの力を使って、どのような課題を解決したいのか」を明確にし、そこからプランを具体化していくようにアドバイスをさせて頂いております。

本記事では、弊社が長年に渡り提供してきたDXに関するこうしたアドバイスを凝縮し、教科書的な定義づけだけでなく、事例、理由、戦略、ツールを交えながら、読者の皆さまに実践的な情報を提供していこうと考えています。

それでは始めましょう。

DXの意味

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、AI・クラウド・IoT・ビッグデータといったデジタルの力(Digital)を活用することで、働き方やビジネスモデルに変革をもたらす(Transformation)企業戦略を指します。

ただし、この定義はあくまでも教科書的な一般的なもので、弊社内ではほとんど使っていませんし、お客様にも求められない限りはお伝えしません。

なぜなら「デジタル」「変革」というワードだけを伝えても、担当者の立場からすると「まず何に手をつければいいか分からない(優先度)」「どのくらいの規模で進めればいいか分からない(作業予算・期日・範囲)」「どのような目標を持って進めればいいか分からない(アウトプット)」といった、多くの不確定要素を出してしまうからです。

単刀直入にいうと、「デジタルの力用いた企業変革」といっても、担当者の頭に「?」が点灯するだけで、何もメリットがないのです。

insight

この段階で外部のDXコンサルティングを招待して、要件定義から進めることもいいですが、自発性の欠如やノウハウがたまらないというリスクも兼ねているので注意が必要です。

(余談ですが、デジタル化が進んでいる欧米では「Digital Transformation」という言葉は日本と比べ使われておらず、「クラウド」「AI」「BI」という、より課題を解決するためのテクノロジーやサービスがよく使われます。)

こうした背景から、SankaではDXを「企業の課題を解決するためのデジタル施策」といった、かなりシンプルな言葉で、クライアントに説明をさせていただいています。

ここで重要視していただきたいのが「課題」というワードです。

一旦「変革」というワードは忘れていただき、代わりに、読者の皆さまが企業や組織で抱えている「課題」を思い浮かんでみましょう。

自動化できるのに手をつけていない単調な作業。顧客のためにならない社内稟議。時間を費やすだけの報告業務。利益になっていない事業。

このような課題が頭の中に浮かんできたでしょうか?

こうした課題をリスト化して、一つ一つの課題に「緊急度」「事業インパクト」「導入コスト」でスコア付けを行い、優先的に対応すべき課題と、その課題が解決された姿を明確に思い描いてみてください。

課題設定が明確になれば、DXの推進は間違いなく進みますし、逆に課題がない虚無なDX施策は、どのようなテコ入れをしても失敗に終わるのがほとんどです。

若干乱暴な括りかもしれませんが、DX施策の9割は課題の抽出で決まるといっても過言ではないでしょう。こうした理由から弊社では「DX=課題解決」と担当者様にはしつこくお伝えしています。

「DXは単なる情報のデジタル化(デジタイゼーション)や効率化(デジタライゼーション)ではなくビジネスモデルの抜本的な変化だ」というお話を聞かれることもあるかと思いますが、このような細かい定義に惑わされるのではなく、「どのような課題が自社にあって、それらを解決するか」というシンプルな問いに答えていくことが、実際に結果を出す秘訣だと考えています。

さて、「DX=課題解決」という視野を持てば、DX事例は、「デジタルを活用した課題解決例」であることが分かると思います。

「変革」という曖昧なものではなく、どのように各企業が自社の課題を解決していったか。

そうした話を、次に見ていきましょう。

DXの事例

業界を問わず、デジタル技術を企業戦略の中心に据えて顧客の課題を解決してきた企業は、常に変化する市場の中で優位に立つことができます。

この章では、DX推進に成功した企業の事例を紹介していきます。

また、DXの事例をより詳しく学ばれたい場合は、DX事例の記事を別途ご参照ください。

サービス: Netflix - サブスクリプション x コンテンツ

まずは「DXの事例といえばこれ」というほど頻出する事例かもしれませんが、NetflixがどのようにDXを推進したかを見ていきましょう。

Netflixは当初DVDを郵送するサービスでしたが、テクノロジーの進化を見据え、ストリーミング視聴モデルを早期に採用し、競争が激しいメディア業界において、大きく市場シェアの獲得に成功しています。

彼らがストリーミング視聴によって解決したかった課題は何だったのでしょうか?

これはあくまでも私の仮説ですが、「データの取得とそのデータを活用したサービス提供」であると考えています。

例えばNetflixの場合、創業初期は「いつでも返せるDVDサービス」としてのサブスクリプションサービスで一定の人気を集めましたが、このサービスの場合「誰が、どのタイミングで、どのようにDVDが見られている」というデータが集まりません。

一方ストリーミングの場合、オンデマンドでコンテンツが消費されるので、どのようなコンテンツが好まれ、共有され、消費され、売上に直結している、といったデータがどんどん蓄積されます。

更にそのデータをもとにサービスを改善するフィードバック・ループを構築することができるので、競合他社に比べて大きなアドバンテージを得ることができます。

実際にパーソナライズされたレコメンデーションや後述するオリジナルコンテンツで、Netflixは従来のケーブルテレビや放送業界に大きく差をつけました。

また、Netflixは、こうして集めたデータをオリジナル・コンテンツの制作や、広告ビジネスに活用することで、今もなお進化し続けています。

すべては「顧客をより深く理解してより良いサービスを提供する」といったシンプルな課題設定から始まっていることがわかります。

サービス業でDXを推進する場合、どのように顧客が商品やサービスを消費しているか、というデータを集め、そこから得たインサイトを基礎にサブスクリプションロイヤルティサービスを始めるといいでしょう。

製造業: Airbus - IT管理 x モバイル

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*画像はAirbusホームページを参照

一方航空機メーカーの世界的リーダーであるエアバスは、DXで業務効率の課題を解決しようとしています。

同社は15のITサービスデスクをワンプラットフォームに統合することで、圧倒的な効率性を実現しました。この変更により、10ヶ月間で2,200,000のページビューがあったヘルプセンターを立ち上げ、サービスデスクのエラーは30%削減されました。

こうした社内の生産性向上に関する取り組みは製造業に多く見られますが、具体的にはチャットボットナレッジベースが人気のソリューションとなっています。

こうした施策の目的としては従業員、顧客、パートナーのIT・製品サポート担当からの脱却です。

DXを推進することで、サービスデスク側が受けるメールや電話の数を減らし、結果コスト削減、生産性向上、利益率の改善を実現できます。

また、Airbusではモバイルアプリを開発することで、サポートをさらにパーソナライズしてサービスの提供にも成功しています。

飲食: スターバックス - フィンテック x モバイル x CRM

次に知名度・規模とも世界最大級のコーヒーショップスターバックスです。

同社はファイナンステクノロジーとモバイルテクノロジーを起点に顧客体験を向上させることに成功しています。

スターバックスにおけるDXの最初のステップは、「スターバックスカード」の導入でした。このカードは、顧客がポイントを獲得しながら、現金なしで買い物をすることを可能にするトップアップ式の支払いサービスです。

その後スターバックスは更に同社のモバイルアプリとスターバックスカードの連携し顧客がスマートフォンを使って支払いを完結できるようしたり、モバイルオーダーなどの機能を追加しデジタル世界に受け入れられるシームレスな顧客体験を実現しています。

スターバックスは、こうして集まった決済と顧客データを分析し、顧客エンゲージメントの向上と経営判断に活用し、飲食業界における革命をもたらしました。

*同社の「ディープ・ブリュー」と呼ばれるAIプラットフォームは、商品のレコメンド従業員のシフト管理などを人工知能が行うことで業界で注目を集めました。

金融: DBS - AI x サービス x 業務改善

東南アジア最大の銀行であるDBS銀行は、銀行業務をデジタル・プライム・エコシステムに再構築する包括的な旅に乗り出しました。

ガンダルフ」プロジェクトを開始し、あらゆる顧客接点にテクノロジーを導入し、データ分析とAIを効果的に活用して顧客サービスを向上させ、内部業務を合理化したことで、銀行のような伝統的な分野でもデジタル・チャンピオンになれることを証明しています。

カスタマー・エクスペリエンスの向上への取り組みが、同行のDXの中心となりました。モバイル・アプリを導入し、サービスをデジタル化することで、DBS銀行は顧客に改善されたシームレスなバンキング体験を提供しています。

また、同行はクラウドやAIの活用は、バックエンド業務の大幅な効率化とコスト削減にもつなげています。コア・バンキング・システムを刷新し、クラウド・コンピューティング・テクノロジーを採用することで、同行は業務を効率的に管理し、デジタルに精通した顧客にサービスを提供できるようになっています。

プライバシーやセキュリティがデジタル・バンキングの最大の懸念事項となっている今、DBSはこうしたテクノロジーを押し出し、差別化に成功しています。

メディア: ニューヨーク・タイムズ - コンテンツ x 広告

デジタル化が進む世界で、伝統的な印刷メディアのニューヨーク・タイムズ(NYT)は、2011年には早くも変革の必要性に気づき、徐々にデジタル購読モデルへとシフトしていきました。

NYTの紙媒体からデジタル購読への移行では、データ分析を活用してターゲットを絞った広告やパーソナライズされたコンテンツを提供しています。また、コンテンツにはペイウォールを導入し、デジタル購読に軸足を移すことで、同社は収益源を再定義し、デジタルファーストの未来に備えることに成功しています。

更にデジタル・ストーリーテリングに投資して、モバイルに対応したウェブサイトの開発、ポッドキャスト、インタラクティブ記事など、さまざまな魅力的なフォーマットでコンテンツを配信した。

NYTのデータ分析とAIへの投資は、業務の合理化とコンテンツ配信の最適化だけでなく、データ主導で技術に精通した企業文化やDX人材の採用にも影響を及ぼしています。同紙は、デジタル変革のプロセスを通じて、質の高いジャーナリズムの創造に専心し、印刷メディアとデジタルメディアを超越する強力なブランド評価を強化してきた。

小売: ナイキ - コミュニティ x EC x モバイル

スポーツアパレルとアクセサリーの世界的リーダーであるナイキは、顧客体験を刷新し、デジタルイノベーションをリードしながら、ビジネス戦略をデジタル領域へと進化させることに成功した。

モバイルアプリ、パーソナライゼーション、データ分析に注力することで、ナイキは顧客との強いエンゲージメントを育んできた。

ナイキトレーニングクラブとナイキランニングクラブのアプリを通じて、同社はフィットネスコミュニティと消費者への直接的な働きかけを生み出しました。

Nike+コミュニティからモバイルアプリまで、ナイキのデジタルエコシステムは、消費者を惹きつけ、顧客との関係を強化する上で極めて重要であった。

これらのプラットフォームはショッピング機能を提供するだけでなく、コミュニティ形成やライフスタイルを中心とした機能もサポートしている。

モバイルとEコマースへのシフトは、消費者の行動パターンの変化に対応したものだった。

ウェブサイトを刷新し、SNKRSアプリを立ち上げることで、ナイキが消費者のショッピングトレンドの変化をいかに効果的に捉えたかを実証した。

顧客データをインサイトとパーソナライゼーションのために活用することは、ナイキのデジタルでの成功に大きく貢献した。

データを活用することで、製品提供の情報を提供し、効果的に顧客をターゲティングすることは、デジタルトランスフォーメーションへのデータ主導型アプローチの説得力のある例である。

技術系新興企業を買収し、常にデジタル革新を推し進めることで、ナイキは小売業におけるデジタルトレンドの最前線に立ち続けることに成功している。

テクノロジーへの投資は、ナイキがデータ分析と予測能力を活用する上で重要な役割を果たしている。

デジタルトランスフォーメーションの成功は、顧客中心の戦略、イノベーション、技術統合、そして強力なリーダーシップを軸とする旅である。

このブログ記事で紹介した世界的なブランドの例から分かるように、デジタルトランスフォーメーションを取り入れた企業は、業務効率や利益率を高めただけでなく、優れた顧客体験を提供することにも成功している。

もはや、企業がデジタルトランスフォーメーションを「なぜ」取り入れるべきかという問題ではなく、「どのように」デジタルトランスフォーメーションを活用するのが最適なのかという問題なのだ。

具体的な導入方法は業種や企業によって異なるだろうが、核となる原則は変わらない。顧客中心主義、データ主導の意思決定、最先端テクノロジーの採用、そして大胆な一歩を踏み出す意欲である。

DXの理由

DXが今日、重要である理由

  • 働き手の欠如:高齢化・少子化による労働者不足はすでに長い間懸念されていますが、解決の兆しは未だ見えていません。
  • コストの高騰:インフレによる材料費用の高騰、従業員の給与プレッシャーなどで、多くの企業はコスト削減を求められています。
  • 成長率の鈍化:紙のDM、屋外広告、営業マンによる営業など、今までの事業成長戦略では、データの活用ができず、顧客が求めているサービスをと届けることができなかった。
  • 競合の激化:この数年だけ見てもデジタルファーストのサービスが市場を席巻しており、銀行(vs フィンテック)、タクシー(vs モビリティ)

次にDX推進のメリット・効果を見ていきましょう。

  • 生産性の向上:DX推進によるプロセスの合理化により、製品開発から販売促進、バックオフィスまで、企業のプロセスを改善。少ない人員でより多くのパフォーマンスを出すことができます。
  • コストの削減:企業にあるデータをすべて一元化、見える化、効率化することで、ダボついたコストをスリム化して、さらに顧客
  • 事業成長の加速:消費者のデジタルニーズに応えることはもちろん、あたらしい商品を
  • アジリティ(敏捷性):市場の変化に迅速に適応。レガシーだと対応できないのがクラウドだと対応できたり。適応しないことは、デジタルに精通した競争相手に後れを取るリスクを伴います。

DXの戦略

プロセス

  1. 要件定義
    1. 課題の抽出
    2. 課題解決に向けたリソースの確保
  2. 限定的ソリューション導入
    1. POC開発
  3. 本番運用
  4. 効果検証、規模の拡大

課題の抽出

  1. 最新技術の導入
    1. 主にPOCを
    2. テクノロジーの導入:AI、IoT、クラウドコンピューティングなどの現代技術の実装
  2. データの有効活用
    1. データ分析:戦略的意思決定のためのデータの活用。
  3. 売上改善
    1. 顧客体験:デジタルチャネルを通じた顧客旅行の強化。
  4. 利益改善
    1. 労働力の強化:デジタルツールとスキルで従業員を支援。
  5. 組織改善
    1. デジタルカルチャー:継続的な革新を受け入れるマインドセットの育成。

デジタルトランスフォーメーションの課題

一般的な課題には以下があります:

  • 変化への抵抗:組織の慣性を克服する。
  • 技術統合:新しいソリューションのシームレスな統合を確保する。
  • 予算の制約:イノベーションに必要なコストとのバランスをとる。
  • スキルギャップ:従業員のデジタルスキル不足を埋める。

ステークホルダーのエンゲージメント、段階的な技術導入、継続的な学習などの戦略でこれらの課題を軽減することができます。

デジタルトランスフォーメーションにおける推奨ツール

適切なツールを選択することが重要です:

  • クラウドサービス:AWS、Microsoft Azure、Google Cloud などのスケーラブルなインフラストラクチャ。
  • CRMシステム:Salesforce、HubSpot などの顧客関係管理。
  • ERPシステム:SAP、Oracle などの統合されたビジネスプロセス管理。
  • コラボレーションツール:Slack、Microsoft Teams などのコミュニケーション強化。
  • データ分析とBIツール:Tableau、Power BI などの洞察に満ちたデータ分析。

これらのツールは、ビジネスの特定のニーズと目標に合わせて選ばれるべきです。

おわりに

デジタルファーストの世界では、デジタルトランスフォーメーションが不可欠です。それは目的地ではなく、継続的な適応と学習を必要とする旅です。ビジネスはデジタルトランスフォーメーションを戦略的な必須事項として捉え、絶えず変化するビジネス風景で関連性と競争力を保つべきです。

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